2016-11-26

スティーブン・ジェラード現役引退


サッカー史上、クラブ史上最も偉大な選手の一人として名を残すスティーブン・ジェラード(36)が現役を引退する決意を表明した。リバプールで17年間プレーし、05年にイスタンブールでの欧州制覇など数々のトロフィー獲得に貢献し、クラブの象徴的存在として大活躍。今季限りでLAギャラクシー退団を発表し、今後の動向に注目が集まっていた中、ここでキャリアの幕を閉じることにした。

“信じがたいほど恵まれたキャリアを過ごすことができた。これまで支えてくれたすべての人々のサポートがなければこれほどのキャリアを過ごすことはできなかった。1998年11月、ブラックバーン・ロヴァーズ戦でデビューした当時まさかこんなに素晴らしい18年間のキャリアを過ごすことになろうとは夢にも思っていなかった。リバプールで700試合以上、多くをキャプテンとしてプレーし、大きなトロフィー獲得の一員になれた自分を誇りに思う。あのイスタンブール以上の夜はなかった。” 
 “リバプールFCのみんなに感謝している。リバプールのキャプテンとして長年プレーし、偉業を成し遂げられたことを誇りに思う。偉大な選手や監督にも恵まれ、お世話になった皆に感謝したい。”

レッズとして700試合以上に出場し、186ゴールを記録。イングランド代表として114試合にも出場。サッカー界屈指のMFとして貢献してきたジェラードは、引退発表後初インタビューに応じ、引退を決意するに至った経緯を明かした。



「理由はいくつかある。体が訴え出した。痛みを頻繁に感じるようになり、ピッチでの気持ちに変化が出てきた。なんだかここ数年は自分がスローダウンしている感じだった。以前に出来ていたことができなくなり、少しづつフラストレーションが溜まるようになっていた。」

「それに自分が信頼し尊敬するサッカー界の人たちから、『まだもう少しやれるくらいの状態で引退しろ。ピッチでの時間を伸ばしすぎて、もういいよっていう恥をかくまでプレーするな。』って言われてきた。その時がもう遠くないって感じる今、引退するべき時が来たと感じている。」

「決意した瞬間があったっていうよりは、時期的なもの。ギャラクシーでの残り約3〜4ヶ月は負傷があまりに多かったし、以前のキレがなくなって、試合がどんどん難しくなっていた。気温の高さや湿気、移動も影響していた。この半年間、『今日いいプレーができなかった。』『あの選手のほうがいいプレーしてた』っていうことが何度もあったし、そう感じるのは嫌。だから今が引退するべき時だって感じてる。」

毎日全力で駆け抜けたプロ人生が恋しくなるのは間違いない。

「100%現役は恋しくなる。俺はサッカーをプレーするのが大好きっていうタイプだ。とにかく試合が好きだし、毎日のトレーニングも、戦うのも好き。長年の山あり谷ありの競技人生もすごく楽しんできたから、本当に恋しくなるよ。もう二度とピッチに立つことがないのかと思うと悲しい。試合前のドレッシングルームでの盛り上がりや、大勢の観客の前で真剣にプレーできるというのはプロの選手ならでは。それがもうないのは残念なんだけど、同時に達成感があって誇り高いというのも事実。」

「これだけ素晴らしいキャリアを過ごせるとは思っていなかった。自分にいつも言い聞かせているんだけど、俺は公営住宅で育ち、いつか地元のクラブでプレーすることを夢見ていた少年だった。その少年がこれだけの人生を過ごすことができたことに本当に感謝している。」


最高の思い出は、やはり奇跡を起こしたイスタンブールの夜だ。

「間違いなく05年のイスタンブールでのチャンピオンズリーグ。5度目の欧州制覇を成し遂げ、永遠に保持できるトロフィーをクラブに持ち帰ることができた。決勝までの道のりで貢献することができ、カップを掲げ、さらにあの試合展開は史上最高のチャンピオンズリーグ決勝だ。本当に奇跡が起きた。キャプテンとして試合を動かさないといけないというプレッシャーは感じていたし、結果あの試合展開には満足している。」

永遠に忘れない最高の夜を過ごしたジェラードだが、山あり谷ありのキャリアには忘れられない悪夢も。帰り道に涙を流したチェルシー戦のスリップ。念願のプレミアリーグ制覇を逃すことになった。

「あのチェルシー戦は今後俺の脳裏を離れることはない。有頂天のイスタンブールとは正反対の気分だ。人生で最悪の大惨事が起きたと感じた瞬間だった。それくらい最悪の出来事。」


イングランド代表として数少ない通算100試合を達成した一人であるジェラード。世界屈指のMFとして活躍した自分のキャリアを振り返り、自分の最大の長所を明かした。

「自分は最高の攻撃的MFでも守備的MFでもないと思う。俺はどれも少しづつできる万能さが一番の強みだった。タックルもするし、どの距離でも走れるし、ゴールも決める。なんでもできる柔軟性を持っていたってことが自分の長所だったと思ってる。」

「短所は昔ラファ・ベニテスが指摘していた通り、自己抑制力に欠けていたというところ。セントラルMFとしてポジションを簡単に外れたり、感情の抑制もできていなかったりした。何度も不要なカードをもらって、チームメイトを失望させたことがある。過去に戻って修正できたらなと思うのはそういうところ。」

MLSでプレーしたとはいえ、ジェラードはいつまでもリバプールの選手として歴史に名を刻む。移籍の誘いを何度も受け取ってきたが、自分のキャリアの決断に後悔はない。

「当然他のクラブに移籍する機会はあった。でも自分の選んだキャリアに後悔はない。その間にプレミアリーグ制覇を逃したことを非難されたりしたことも多くあった。確かにリーグ最強のチームに移籍して何度かリーグ制覇をすること、海外の強豪クラブに行って栄光を掴むことはできたかもしれない。でも同時に、自分にとって一番大切な人々のために忠実であり続け、お金や栄光を追うことに固執しなかったことについては満足している。もちろんプレミアリーグ制覇できなかったことはすごく大きな後悔ではあるけど、自分のクラブに対する忠誠心には満足してるよ。」

リバプールFCとはどんな存在?

「この上なく大切な存在さ。幼い頃からこのクラブをサポートしてきたし、家族の多くはレッズだ。人間として選手として幼い頃から育ててくれたクラブにはすごく感謝してる。」

監督業を夢みるジェラードはコーチングバッジ取得に向け勉強中。リバプールアカデミーのコーチングスタッフとしてオファーを受けているとかいないとか。次のステップを明言は避けたが、将来的にコーチングの道を歩むことは間違いないようだ。

「まず今はBTでのチャンピオンズリーグの解説者としてしっかり集中したい。でも将来的には監督業に携わりたい。アシスタントマネージャーとして再びドレッシングルームに一緒に入りたい。でもそれをやるまでにはまだ時間があるし、BTでの解説をやりながら、時間があるときにマネージメントについて考えたり学んだりしたい。」

2 件のコメント:

mabo さんのコメント...

僕がレッズサポになったのはトーレスきっかけだったんですが、スティービーの存在の大きさとキャプテンシーに次第に魅了されていったのを覚えてます。欠点と言っていた感情を抑制できない部分が、ある意味でとてつもない魅力を引き出してたんだと思います。13-14の円陣とかマージーサイドでのハットトリックと語ればキリがありませんが、間違いなくKOPの心を震わせてくれる選手でした。ありがとうスティービー。 長文すみません。

Machilda さんのコメント...

とうとうこの日が来てしまいましたね…
受け入れ難いですが、これも現実。

どんな形であれ、レッズに戻って来てくれると思いますので、待ちましょう!

沢山の感動と思い出をありがとう!
そして、お疲れ様でした。