2016-05-18

ジェラード: 優勝し新黄金時代の幕を開けよう


優勝すれば新黄金時代の幕開けになるかもしれない
By Steven Gerrard 

今夜セビージャを破れば、選手たちが欧州トロフィーを手にし、歴史に名を刻み、同世代では最も偉大な監督のもとでの新時代の幕開けを示すものになるかもしれない。クラブや街が盛り上がり、サポーター皆がプレシーズンまでをカウントダウンし、ユルゲン・クロップが来シーズン何をしてくれるだろう、タイトルにチャレンジできるかも、なんて口にしながら8月まで過ごすことができる。チャンピオンズリーグ出場権があれば一流の選手を惹きつけることができるとあり、さらに自信度が増す。

だがそこにはリバプールを愛する誰もが考えたくない暗い道もある。数ヶ月で2度目の決勝敗退となれば、スイスまで行って掴んだ勝利、マンチェスター・ユナイテッド、ボルシア・ドルトムント、ビジャレアル戦の大きな勝利から得たせっかくの満足感が弱ってしまう。

またタイトルのないシーズン、来季欧州の大会なし。そうなればユルゲン・クロップが獲得できる選手のクオリティ、クラブの経営、選手たちの士気にも影響する。ここまでこれだけポジティブなことがあれど、これほどの大舞台での敗北は後に響いてしまうものだ。思い出深いシーズンと克服するに時間を要するシーズンとでは天と地の差がある。それゆえこの試合は、シーズンを決める一か八かの戦いだ。


その対照的な感情を俺はよく知っている。01年のUEFAカップ優勝、05年のチャンピオンズリーグ優勝があったが、07年のミラン相手のチャンピオンズリーグ決勝敗退に苦しんだ。欧州制覇は俺のキャリアを象徴するものと言える一方で、後悔を伴うものでもある。2度とも終わったあとには、これが成功の幕開けだと思った。そのための舞台は完璧に整っていたが、それを生かすことができなかった。特にイスタンブールのあとにだ。

あの5度目の欧州制覇の優勝パレードのバスでビッグイヤーを掲げる俺に、『今後11年でトロフィーはFAカップとリーグカップだけだぞ』なんて言われていたら、俺は信じなかったろう。以後のことがすべて失敗だったと言っているわけではない。ラファ・ベニテスとブレンダン・ロジャーズのもとでは決勝で破れ、準決勝に破れ、プレミアリーグ優勝に迫ったりと勝利を掴むチャンスは幾度もあった。

05年のあとには、久々にクラブの名前がUEFAランク1位に返り咲く。素晴らしい思い出、パフォーマンスがあったが、01年ドルトムントと05年イスタンブールの優勝以後、期待以上のトロフィーを獲得できていないというのが現実だ。01年のチームは素晴らしいチームであり、ほんの数選手の一流の選手がいれば成功できたはずだった。だが補強に失敗し、悪い方向へ。05年は少し違った。就任直後1年目で欧州制覇を成し遂げた一流の監督がいたが、タイトルにチャレンジするレベルまでチームをもってくにはまだまだで、クラブには水面下で問題が起きていた。スタジアムの問題があり、新オーナーを探していたというのはよく知られている。


2年後に俺たち再びチャンピオンズリーグ決勝の舞台に戻った。当時のトム・ヒックスとジョージ・ジレットオーナーはスタジアムプランを構築し、大型補強を約束してくれていた。しかし直後にトップから崩壊。新たな成功は実現しなかった。あの欧州での決勝から9年。成功の基盤が整いながら実現できなかったあの頃と比べると、今のクラブは久しく安定した状況にあると感じる。

ヨーロッパリーグとチャンピオンズリーグでは大きな差があるのは確かだが、この決勝を前に今チームの基盤が整っている。01年、05年と類似点があるが、明らかな違いもある。ジェラール・ウーリエとラファ・ベニテスと同じ欧州を熟知する監督がいるという点は同じ。だがオーナーシップの環境はあの当時より安定しているし、来シーズンからはスタジアムの収容人数は54,000人になる。クラブにさらに勢いはつくはずだ。

最初のトロフィー獲得というラインを超えるのは非常に大変だ。監督がそこで重要な役割を果たすが、クロップはチームに真の信念を植え付けた。ヨーロッパリーグはその出発点になり得る。チャンピオンズリーグ出場権というボーナスも素敵だ。これまでリーグでトップ4を重要視するあまり、ヨーロッパリーグを犠牲にしなければならないという状況が続いていた。若手やバックアップ選手を使い、ヨーロッパリーグの価値を下げていた。今シーズンのクロップはヨーロッパに焦点を当てるためプレミアリーグで調節を行った。

リバプールが優勝できる可能性はというと、俺はチームが今の最大限の力を出すことができれば今夜トロフィーは手に入ると固く信じている。プレミアリーグとラ・リーガのクオリティの違いは世間が思ってようなものではない。ラ・リーガのワールドクラスのチームはレアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリード3つだけ。ほかのチームは比にならない。ラ・リーガ最終節の試合を見ていても、緊張感など全くない。レアルやバルサが勝つというのが明らかだった。リバプールは、ここまでビジャレアル戦のようにリーグのレベルの違いをみせつけてきた。

セビージャで注意すべきはケヴィン・ガメイロ、エベル・バネガだ。さらにリバプールはイェウヘン・コノプリャーンカを対処するためのプランをしっかり持っていないといけない。彼は素早く、ドリブルがうまく、ゴールを狙う力を持っている。鍵は彼を左脚でプレーさせることだ。とは言うものの、セビージャはここまでのリバプールの仕事ぶりに快適にプレーはできないはずだ。

UEFAカップ優勝時のことは今でも鮮明に覚えている。カップは重く、大きい。終了のホイッスル後にジョーダン・ヘンダーソンとユルゲン・クロップがあの美ししいトロフィーを掲げる姿を見られることを切に願う。

Telegraph抜粋)


A photo posted by Steven Gerrard (@stevengerrard) on

3 件のコメント:

Lbird さんのコメント...

世界中のファンが待ってる、
トロフィーを持ち帰ってほしい。祈ってます。

匿名 さんのコメント...

20年来のリバポファンです。これを読んだ時、涙が流れました。いつも情報ありがとうございます。貴重な記事を訳してくれて心から感謝します。決勝応援がんばりましょう!

zumi23 さんのコメント...

いつも拝見してます。
ありがとうございます。
読んでて涙が出てきました。
一か八かの戦い...
どのような結果になっても応援してます。