2014-08-01

ジェラード:人生最悪の3ヶ月とスアレスの移籍


明日はニューヨークでタイトルを争ったマンチェスターシティとの対決が控えている。昨シーズン終盤のチェルシー戦でスリップしたスティーブン・ジェラードが会見に臨んだ。クラブ側が“何か話したくない話題はある?”との問いに対し、“ない”と即答したキャプテン。報道陣から真っ先に飛び出したのは、毎度聞かれるあのスリップについて。

「あのことを聞くなんてあんた大したもんだ。逆に聞くけど、どうだったと思う?人生最悪の日?ほら答えは出た。俺の人生で最悪の3ヶ月だったかも。何度か映像を観たけど、またあの辛さを思い出すから観たくない。あの直後から何ヶ月も辛い思いをした。消えることはなく、傷は癒えない。家にはテレビがあるし、俺は新聞も読むし、今はソーシャルメディアもある。ああいうことが起きれば、向き合って耐え抜くしかないんだ。実際起きてしまったことはもう変えられないんだから、受け入れるしかない。セットプレーをミスしたわけでも、ペナルティを外したわけでもない。パスが悪かったせいでもないし、何かミスをしでかしたわけでもないんだ。だからこそ惨め。この地球上の誰もが人生どこかでコケることはある。階段であれフロアであれ。それが俺はピッチで最悪のタイミングで起きてしまったんだ。」

「38試合もあれば、色々なことが起きる。試合結果や優勝できるかどうかを左右してしまうようなことだって起きうる。あのスリップがここぞという時に起きてしまった。その事実には背を向けられないし、今後も逃げるようなことはしない。クラブでシーズン終盤に不運なことが起きて、それを忘れようとワールドカップに望んだ。でもそれが裏目に出た。とんでもない最悪の出来事が短い期間で起きてしまった。だから今シーズンは俺にとっていいテストになる。このあとどれだけのパフォーマンスができるのかっていうね。」

「当然受け入れるのは辛いけど、すぐに切り替えなくてはいけない。今年優勝を狙って、チャンピオンズリーグでも進出できるように。試合がたくさん待っているから前向きでいられる。チームのキャプテンとして落ち込んで、塞ぎ込んでいられない。チームメイトたちは俺がどういうムードなのかをみているから、俺自身がすぐ切り替える必要がある。毎度会見をするたびに言われるけど、俺はそれくらい厳しい試合をたたかってきているということ。この世界ではいつも笑って楽しいことばかりじゃない。傷ついたり、失望することだってある。この3ヶ月は多大な失望を味わった。34歳にしてこの3ヶ月がキャリアで一番思い出深いなんてことにはしない。いいかたちで引退したい。」

振り返りたくない3ヶ月の最後に待っていたのはエースの移籍。ルイス・スアレスの穴は全員で埋める。

「俺はルイス・スアレスのナンバーワンファンだ。彼のことは選手として大好きだし、彼ほどの選手がされば大きな穴が開くのは当然だ。みんな最初はすごく落ち込んだけど、これはトーレスが移籍した時と同じ。このクラブはそういうことを乗り越えられるほど大きなクラブで、一人の選手頼りじゃない。彼の穴を埋めるために早急に移籍市場で動いているってことが、痛みを和らげてくれている。ルイスの移籍の衝撃をなくすために、選手全員が各自の責任をもってプレーしていく必要がある。それは俺から始めようと思う。俺たちはいいチームでいい監督がいるから、まだまだ成長していける。自信はどんどん湧いているし、本気で戦えるチームなんだって示す必要がある。」

「いいチームというのはワンシーズンだけじゃない。目標を達成するために戦い続けるものだ。チェルシーもマンチェスター・シティもそうしてる。ユナイテッドは不振のシーズンがあったけどまた戻ってくるだろう。アーセナルはいい選手を獲得している。このリーグはさらに厳しい戦いになるけど、そこで優勝できるだけの力はあるって信じてる。」

ルイス・スアレスの移籍は理解できるものだった。ファンとして活躍を祈るキャプテン。

「ルイスは奥さんがバルセロナ出身だし、自分の夢に向かってあれだけ頑張る選手の移籍を妬むことはできないよ。バルセロナに行くと言われて反対できない。彼はずっとレアル・マドリードかバルセロナでプレーすることを夢見ていた。昨夏に彼が1人で練習をさせられたときに、彼とそういう話をしたんだ。俺は『アーセナルには行くな。』って伝えた。ルイスがアーセナルに行ってたら相当俺は落ち込んでいたと思う。アーセナルへの敬意を持って、お前はアーセナルにはもったいない選手だと言った。もし30得点以上リバプールで決めて、最優秀選手賞を獲ったら、レアル・やバルサは必ず来るって伝えた。最優秀選手に選ばれると俺は思っていたからね。」

「彼の移籍は残念だ。でも彼の夢が実現したことは良かった。彼は毎日、練習でも試合でも超越していた。昨夏は周囲の人間から間違ったアドバイスをもらったんだろう。とにかくチャンピオンズリーグでプレーすることばっかりでどのクラブでプレーするかって考えていない人たちだ。俺自身過去にスペインのクラブからオファーをもらった経験があるからわかる。いいプレーをしていれば、そういうクラブは必ずまた接触してくる。だからルイスの場合もそうだってわかってた。リバプールファンへの配慮も含めて、彼は少なくともリバプールでもうワンシーズンプレーすべきだって思った。今ももうワンシーズンって思っている人もいるみたい。俺の場合はリバプールでプレーするのが夢だったけど、外国人選手たちはみんなレアル・マドリードやバルセロナでプレーすることを夢見ているってのが事実だ。」

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