2015-08-27

クラブがバロテッリに愛想をつかせたワケ


マリオ・バロテッリがリバプールに別れを告げた。ACミランとの契約では完全移籍のオプションが付いていないが、リバプールのシャツを着ることは二度とないだろう。バロテッリは自身のFacebookで『チャンスと時間をくれたリバプールとリバプールファンに感謝している。これはまたねではなくてお別れだ。どの舞台でもリバプールの成功を祈っている。ACミランと対決しない限りね。』とファンに別れを告げている。これでアンディ・キャロルや、アルベルト・アクイラーニ、エル=ハッジ・ディウフらと同じくレッズの大失敗選手リスト入り。

ブレンダン・ロジャーズがバロテッリに完全に愛想を尽かしたのは1月にさかのぼる。マージ―サイドでポテンシャルを開花させると宣言していたが、全くその心は空っぽだったことがわかった。サポーターのなかには、バロテッリはフェアなチャンスをもらえていなかった(バロテッリは28試合出場のうち14試合先発)とか、ダニエル・スタリッジが負傷したことで、ストライカーのパートナーがいなくなったから、リバプールの不振のシーズンの非を負わされている、などとバロテッリを弁護する人がいる。しかし、バロテッリが自分で自分の首を絞めたのというのが事実である。

バロテッリはクラブが求めるプロ意識、貢献心を全くみせなかった。明らかにポジションが危うい立場でありながらも、トレーニングではやる気がみられない。他の選手が、ジムワークや追加練習、映像分析をして必死に上達に努めるなかで、彼は一緒にランチを食べることにも付き合わず、出来る限り早く帰路についた。あるときチームメイト持っていたことでPhone6が発売されたことを知る。その日の練習開始後すぐにハムストリングに違和感を訴えた。メディカルチームは彼を中に戻し、検査。1時間半後にチームが部屋に戻ったとき、満面の笑みのバロテッリの手にはiPhone6とボックスがあった。メルウッドをうろちょろするバロテッリミニオンズの一人が買いに出たらしい。当然、一同が仮病を疑い驚いた。

チームメイトに嫌われていたというわけではない。常に張りつめた緊張感のなか、激しいバトルをするチームメイトたちに、彼のふざけぶりが笑顔をもたらすこともあった。だがメルウッドで喫煙していたときにはチームメイトを驚かせた。そしてチーム力を高める練習では、数ヶ月ドレッシングルームをシェアしてきたジョー・アレンが誰なのかも知らないと言いだした。

スタッフを怒らせることもしばしば。10月のチャンピオンズリーグのバーゼル戦では、チームが滞在するホテルに友人らを招き入れ、朝まで遊んでいたことにロジャーズが立腹。さらに試合では相手のペナルティボックスでボールに一度もタッチせず、応援に駆け付けてくれたファンを称えに行けと言う監督の要求も無視。その後リバプールは、メルウッドに出入りしバロテッリの周囲を終日うろちょろしている側近たちの出入りをを禁止せざるを得なくなった。

 1月に出場したFAカップAFCウィンブルドン戦では、ウォーミングアップでフィットネスコーチのライランド・モーガンズに指示された走り込みをせずにトンネルへと消えた。こういった悪態は常にピッチで活躍する選手であれば許される行為かもしれないが、バロテッリの場合は全くそれが当てはまらない。

昨夏の市場で、アレクシス・サンチェスやウィルフリード・ボニーを逃し、ロジャーズはしぶしぶ閉店間近に焦ってマリオを購入してしまった。当時の選択肢は、マリオ・バロテッリかサミュエル・エトーしかなく、ロジャーズは'計算したギャンブル'をした。トランスファー委員会も、54試合で30得点を記録した選手が£1,600万とはバーゲンだとみていた。ファンもスーパーマリオを歓迎したが、彼にルイス・スアレスの穴を埋められるはずなどなかったのだ。1年経ち、リバプールは半額でもいいと買い手を探したが手を挙げる者は見つからなかった。

ミランがローンで買い戻したが、奇抜な髪型、夜遊び、喫煙などを禁ずる規律を守り、プレーすることに集中することを誓ったという。そんなお約束はこれまでにも聞いたが、彼は守った試しがない。ロジャーズは自分の問題でなくなったことにホッとしていることだろう。ジョゼ・モウリーニョやロベルト・マンチーニにも手に負えない選手が、ブレンダン・ロジャーズに支配できるわけなかった。

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