2015-05-21

ラッシュ:ベイルを新KOPアイドルに


Ian Rush: ギャレス・ベイルはジェラードに代わる新KOPアイドルとして最高の人材

ファンが一人一人立ち上がり、大きく手を広げて、辛辣な言葉を投げる。5分後にまた起きた。さらに酷い言葉に変わる。それが絶え間なく続く。その視線先のピッチでは、私が出会ったプロで最高の選手の一人がプレーを続けていた。トライし、走り、攻撃を仕掛け、相手を押しのける。あと一歩でゴールが決まるところだった。

ギャレス・ベイルはレアル・マドリードのメイン選手の一人でありながらも、最も乱暴に扱われる選手でもある。私にはこれが理解できない。彼は一流の選手であり、世界屈指の選手だ。チームプレイヤーでチームメイトのために自らを犠牲にできる選手。それなのに彼はマドリードにフィットしない。水曜日私はそれをこの目で目撃した。監督には好かれ、評価されているが、監督残された時間はあとどれくらいだろう。

レアル・マドリードはファンがすべてを決めるクラブだ。ファンが会長を選出し、会長が監督を決める。ベイルが投票者の間で人気がなければ、この先どうなるか結果はお見通しだ。

彼はもっと良い扱いを受けていいはず。性格の良い、物静かなタイプ。周囲の選手みたくセレブのステータスを追うようなタイプではない。この性格で彼は苦しむだろう。だが彼は負けず嫌いでもあるから、見返してやろうという思いも強いだろう。

リバプールの視点からするとブレンダン・ロジャーズは今彼を獲りに行くべきだ。やってみて、マドリーがどうでてくるか。成功すれば、ワイド左右、メインストライカーかその後ろでプレーできるワールドクラスの選手が手に入る。彼のマドリードでの記録は77試合先発で39得点と2試合1ゴール以上の確率で決めている。ウィングでプレーする選手としては満足いく記録だ。

さらに彼はポジティブな環境で輝く選手。リバプールファンは彼をすぐ暖かく迎え入れる。スティーブン・ジェラードの退団が迫っているなか、監督はファンが声援を送り、崇拝する大物が必要だ。ベイルはその条件にぴったりだ。リバプールの街も彼にぴったり。ブレンダンのプレースタイルにも合うし、彼はパーフェクトな適材だと思う。

ジェラードがいなくなってしまうとなれば、何かそれに代わる特別なものが必要になる。私はスティーブンが好きだ。彼はクラブ史上最も偉大な選手であることは明らかで、ブレンダンが彼は政治家より街に貢献していると言ったときには、彼にぴったりの褒め言葉だと思った。スティーブンは10年前にクラブを去ることもできた。でも彼は生まれ故郷のために残ることを選んだ。

The Spirit of Scouse 

地元愛といえば、自分が25年前にリバプールに加入したときのサミー・リー、フィル・トンプソン、テリー・マクダーモットの言葉を思い出す。ウェールズ出身の若造の私は、クラブや街の文化を全く知らなかった。でもすぐに学習していった。マンチェスター・ユナイテッドとのホームのダービーウィークが近づくと、練習で彼らが何度も繰り返していた。"この試合は重要だ。チームだけでなくサポーターにとっても重要なんだ。"

選手はいつかいなくなる。だがそういう想いは去っても受け継がれる。私が新たな選手たちを教育する番かもしれない。アイルランド人ロニー・ウィラン、デンマーク人ジャン・モルビー、ジンバブエ人ブルース・グロベラーという選手たちは養子のスカウサーとなる。クラブへやってくる選手たちはまた同じことを聞く。ロビー・ファウラーが引き継ぐ番がきて、スティーブ・マクマナマンが継ぐ時がくる。ジェラードとキャラガーが台頭するまでに、そのバトンはトミー・スミス時代のチームへと伝えられた。"すべてはサポーターのためだ。"

スティーブンがいなくなった今、リバプールにはこのバトンをつなぐ選手が必要だ。ジョーダン・ヘンダーソンやダニエル・スタリッジの存在が必要となろう。彼らは厳しい時にもクラブを持ち上げる姿勢を持つ選手たちだ。そのスピリットが不可欠となる。スカウススピリットのないチームは価値がない。過去の偉大なリバプールチームのように、それがあれば成功できる。

1986年に我々は2冠。89年にはヒルズボロに戻ることもできた。84年の欧州カップで優勝できた。スカウススピリットがあれば、多くの試合やシーズンを変えることができる。リバプールで生まれているかどうかではない。リバプールの選手としてスカウサーのスピリットを持つかどうかだ。スティーブンは誰に教えられるわけでもなく、それが自然に備わっていた。だからこそみんなが彼の不在を惜しむ。偉大な選手としてだけでなく、素晴らしい人でもあるからだ。

Irish Independent

0 件のコメント: