2014-11-03

史上最高額のチームが自信喪失


ブレンダン・ロジャーズはいつも言っている。プレミアリーグは10節を終えるまでは順位など参考にはならないから目に留めないと。10試合を終えてシーズンの行方が具体的に見えてくると言っている。その10試合を終えた今、見通しは明るくない。

たった14ポイントで7位とトップからは遠くにいる結果が今のレッズの問題を物語っている。チェルシーは地平線の向こうにいて見えない状況だ。昨シーズンに見せつけた勢いと優秀さはどこへやら。自信を喪失し、平凡なチームへと変わってしまった。年間最優秀監督賞を受賞した6ヶ月後、ロジャーズは嵐の中にいる。ベルナベウでのレアルマドリード戦と週末のプレミアリーグチェルシー戦を控え、今は改善を期待するよりさらに悪い状況になるという不安のほうが強い。欠陥だらけのレッズにうまく漬け込んだのがニューカッスル・ユナイテッドだった。

昨シーズン後半は、リーグ19戦たった1敗だ。そのおかげでタイトルにチャレンジできた。しかし土曜日の惨めなプレーで今季4敗。過去7試合でたった2勝しかできていない。危険な下降の道を進んでいる。昨シーズン、チームを華麗なエンターテイナーへと変身させたロジャーズ。暴れん坊将軍スタイルの猛攻撃がクレイジーなスコアラインをたたき出し、トップへと突き進んだ。彼らのプレーをみているのは手に汗握るローラーコースターのようだった。だがそのワクワクするプレーは消えてしまった。10試合中たった1試合でしか昨シーズンのようなプレーをみせられていない。8月のホワイトハートレーンでの一戦だ。あの試合以降、長く厳しい苦しみが続いている。


失速の言い訳となる状況は明らかにある。ルイス・スアレスとダニエル・スタリッジの不在に、新加入した選手が多いことが不調の原因だ。さらにチャンピオンズリーグで試合が増えたことで練習に時間をこれまでほど費やせなくなったのも、もうひとつの事実である。だが毎週何千人Kopitesたちがもっと リバプールに期待するのは当然である。サウサンプトンが2位に座る現状をみるファンは、チームの変革のせいだなんでいう言い訳は聞きたくない。監督とチームの核の選手を失ったサウサンプトンが8ポイントも上にいる。


当然素晴らしいスアレスの不在を嘆く声はおさまらない。だがクラブ史上最高額を投じて補強し、その痛みはもっと軽くなるはずだった。が、痛みは治まらない。£1億1600万(約210億円)を費やしたにもかかわらず、レッズの威力はなくなり、守備は不安定になっていく一方だ。 ニューカッスル戦で先発出場した選手のうち、夏に獲得した選手はたった3選手だけだったというのは意味深だ。総額£5500万支払ったアダム・ララーナ、エムレ・ジャン、ラザル・マルコビッチがベンチにずっと座っていて何もしなかった。ペレズに決勝点を決めるチャンスをプレゼントしたアルベルト・モレノは、自分も休みたかったと思っていることだろう。モレノの横でプレーしたデジャン・ロヴレンはなんとか持ちこたえた。

ミッドウィークの初得点で、ロヴレンのアンフィールドのキャリアがついにスタートするかというみんなの願いは、彼のひとつのミスパスで消えていった。クラブ史上最高額のディフェンダーである彼は試合中ずっと緊張の塊だ。向こう見ずで早まったチャレンジを仕掛け、彼の貢献度は実にひどい。ロヴレンはリバプールのバックのリーダーでまとめ役になるはずだった。ジェイミー・キャラガーの引退後それが欠けていたからだ。だが今の彼は不安を拡散するばかりだ。

1年ぶりにリバプールがアウェイで1得点もできなかった土曜日、マリオ・バロテッリを非難するのは簡単だ。だがそれは間違っている。どうしても活躍したいという彼は不機嫌をぶちまけながらそれを示していた。ひとつ明らかなのは彼はワントップではプレーできない。彼がこれまで輝く瞬間をみせるのは、誰かがそばにいてくれるときだ。ニューカッスル戦ではファビオ・ボリーニが入るまで絶望的なほど孤立していた。

この日は新しい選手だけではなかった。ジョーダン・ヘンダーソンとジョー・アレンも苦しみ、なぜかスターリングも静かで、右ウィングに置かれてからはチームに影響をもたらすことができなかった。最近調子の上がってきたフィリッペ・コウチーニョもじたばたし、リバプールのベストチャンスを決めきれなかった。そのピンポイントのボールを入れたスティーブン・ジェラードはレッズのベストパフォーマーであった。キャプテンの新契約については議論の余地はない。1年の延長に早くサインしてくれるに超したことはない。

ロジャーズは、相手の得点まで完全に試合をコントロールしていたと振り返ったが、ボールを持っていても大したことは何もできていなかった。ロジャーズはいつもチームには世間を驚かせる要素があることに自慢げだった。だが今季はすべてがありきたりで、あまりに平凡だ。活力も滑らかさもない。これまで何度もみてきたように、選手たちは土曜日にもまた間違った選択をし、あらゆる部分で自信を喪失している。最後に追いつくというような盛り上がりもなく終わった。シモン・ミニョレの好セーブがなければ、点差がもっと広がっていてもおかしくない。

リバプールの不調は不安だが、パニックになるものではない。幸運にもライバルたちも苦しんでいるために、チャンピオンズリーグ圏内から3ポイントしか離れていないのだ。レアルマドリードのホームでの試合は重要ではなくおまけのようなものだ。対戦が決まってワクワクした夏から打って変わって、興奮は恐怖感へと変わっている。欧州王者との試合がどうなろうと、レッズのシーズンは国内リーグの結果で決まる。トップ4が最も重要だ。チャンピオンズリーグ出場権を保持するためには、ロジャーズのアンフィールドでの支配力を揺るがしつつある多くの問題を解決することが絶対だ。

0 件のコメント: