2015-09-11

ジェラード: どうしてオファーをくれなかった

スティーブン・ジェラードの2冊目となる自伝がまもなく発売される。発売を前に自伝暴露本からシリーズ掲載を行うDaily MailがLAでインタビュー。MLSに新天地を移したアンフィールドのレジェンドは、世界最高峰のプレミアリーグが恋しいと明かした。

「プレミアリーグがすごく恋しい。テレビで5万、6万、7万の観衆で盛り上がるスタジアムや、あのアグレッシブさ、激しさ、緊張感を見ると、すごくうらやましいと思う。試合前のカウントダウンや自分より格上の選手たちとのバトル、リバプールのキャプテンとしてサポーターのために結果を出さなければというプレッシャーとともにスタジアムに入るスティーブン・ジェラードでいることが恋しい。負けた時には最低の気分を何度も味わって、“なんでこんな思いをしてまでプレーするんだ”って思ったこともある。でも反対に、一流のチームに勝てたとき、携帯が鳴り止まないあの気分はこの世で最高のもの。そういう気持ちが恋しくなる。」

 「ここでの新たな挑戦を楽しんでいるのと同じくらい、25歳に戻ってあと10年リバプールとプレミアリーグプレーしていけたらいいのにって思う。でももう時間切れだ。今じゃ一本全力疾走しただけで息が切れちゃうよ(笑)。年だな。」

まだプレミアリーグでやれると惜しむ声もあったが、35歳となった今フィジカル的にプレミアリーグでは多くプレーできないのが現実。

「能力的にはまだプレーできるけど、この年齢では毎試合プレーできるフィジカル的な力がない。昨シーズン、ベンチに座っているのが嫌だった。次の試合に出れるかどうかわからないなんて嫌だった。リバプールがチャンピオンズリーグに出場していたとき、これからチャンピオンズリーグに出ても、自分が試合でプレーできないかもしれないんだって考えると辛かった。自己中心的だったかもしれないけど、これまでずっと毎試合プレーしてきたから、そういうことを理解するのに苦しんだんだ。」

控えとなっても残留する可能性はあった。監督を目指すジェラードは、コーチングのポジションをオファーされていれば今もリバプールにいたかもしれない。夏に解雇されたコーチ陣を穴を埋めながらマネージメントを学び、選手としてチームに貢献できるよう努力したのにと、本心はリバプールに残りたかったようだ。

「そんなこと言って、これを言うと矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、プレーしながらブレンダン・ロジャーズや彼のスタッフから学べる機会があったら今シーズンもリバプールにいたかもしれない。そういうアイデアは俺が退団を発表した後になってから話題に上がったんだ。」

「自分が良い監督やNo.2かNo.3、No. 4になれるかどうかはわからない。リバプールはコリン・パスコーとマイク・マーシュを夏に解雇して新たな2、3、4番手を探していた。俺なら控えの選手として準備しながら、そういう役に合うように自分を合わせることができた。いいベンチプレイヤーになれていたし、いいサブになれていたし、それをしながらお金では買えないマネージメントの経験を積むことができていた。」


ユナイテッドのライアン・ギグスのようになると期待されていただけに、コーチングを学びながらクラブに奉仕するというオファーがなかったことに驚きを隠せない。

「CEOイアン・エアが代理人と話し合いをした時点でそういう話が出なかったことに驚いたけど、いつか実現するかもしれない。マネージメントやコーチングを学ぶチャンスがあったら、スクアッドとしてでも残留した。そういう選択肢を残して出たっていう状態だけど、今もリバプールにいた可能性はあった。」

BT SPORTSで解説者を務めることになっているジェラードは、今シーズンのリバプールをどうみているのか。

「リバプールがトップ4に入るには必死で闘わないといけない。ウエスト・ハム戦までは俺はなかなか堅いチームだなと思ったし、満足していたんだけどね。リバプールのカギはダニエル・スタリッジだ。彼をフィットさせ、クリスティアン・ベンテケとパートナーにさせられるか。コウチーニョは素晴らしい選手だけど、彼には彼のマジカルワークをフィニッシュまで持って行ってくれる選手が必要なんだ。コウチーニョはチャンスを作り出すことができるし、2桁の得点も出せる選手だ。でも俺たちが2位で終えられたシーズン、実力の上を行く結果を出すことができた要因はルイス・スアレスとダニエル・スタリッジがいたからだ。チームは今ゴールを必要としている。」

「ジョーダン・ヘンダーソンとジェームズ・ミルナーをよく知ってる。彼らはとても誠実な選手だから、チームは身を削って戦わないといけないって思っていると思う。」

「解説者になったらリバプールを'彼ら'と呼ばなければいけない。俺にとってはまだ自分のチームだし、これからもそう。俺がリバプールを'彼ら"とか言ったらロイヤリティを疑われそうだ(笑)。リバプールはずっと俺にとって'We'だよ。」

開幕からコケるチェルシー、巨額投資で勢いに乗るマンチェスター・シティついても評価を明かした。

「モウリーニョを見くびってはいけない。俺は今季開幕前には彼らが優勝候補だとみていた。まだそんな悲惨な状況じゃない。ひとひねりが必要なだけさ。ジョン・テリーをセンターハーフに戻せば大丈夫。シティは傷一つ負わず開幕4連勝している。ドイツのスターに£5200万費やして、少し強化され、良いチームになり、リバプールを頭一つ越えた。」

世界屈指の選手が集うプレミアリーグが大好き。だがイングランド代表の成長のためには、リーグで規制が必要かもしれない。

「35歳の俺にはギャラクシーでプレーするのが適していると思う。レベルはプレミアリーグとは違うけど、みんなフィットしていて、プロ意識も高く、俺はプレーするとなると今もすごくワクワクする。このリーグは選手の補強に関する規制を緩めない限りは大きく変わらないと思う。でも代表チームを守るためにやってる。プレミアリーグの海外からやってくる一流の選手たちは大好きだし、そのおかげで自分のレベルが上がったと思う。でもイングランドのバランスは間違ってる。海外選手の多さが代表チームにとってのダメージになってる。」

なんと次のイングランド代表監督候補にはブレンダン・ロジャーズの名を挙げた。

「ロイの時間が終わったら、ブレンダン・ロジャーズがいいんじゃないかな。彼のプレースタイルはイングランドに合っている。彼なら国際舞台で必要なプレーができると思う。彼はマンマネージメントに非常に優れている。熱戦のトーナメントでは、ボールをキープしないと悪夢だ。リバプールとの兼任は無理だけど、次にどの監督が良いかって言うから答えたまで。チームをプレーさせ、選手たちが一緒に働きたいと思う監督いいというなら、ブレンダンがいいと思う。ロイが何か間違ってたって言ってるわけじゃない。彼はとても良くしてくれたし、今のイングランドには彼がぴったりだと思う。EUROで頑張ってほしいし、成功してできるだけ長くいてほしい。でもEUROでの結果が彼の行先を左右するというのは彼自身よくわかってるはず。うまく行かなければ、監督は変わるだろう。その時かロイの退くべきときが来たら、ブレンダンが候補になり得る。ん?俺は何様だ?(笑)」


土曜日にはユナイテッド戦を控える。時に爆発した感情だったが、クラブを想うライバル心が選手としての成長を促す。

「ライバル心は選手としてリバプール、チーム、バッジにさらに貢献させてくれたと思う。やりすぎた時もあったし、過度の怒りで試合に挑んだこともあったけど、そういう試合が俺を成長させてくれた。俺は情熱的だし、試合が大好き。バッジとクラブのためにプレーしている。この自伝は、サッカーがどう俺を成長させたかではなくて、サッカーが大好きな俺をみて楽しんでもらいたいんだ。数えきれないほどのオファーを断ってリバプール退団を決めたけど、全く後悔はしていないとはっきり言える。」

「理想の世界なら、朝起きたら自分が25歳に戻っていて、リバプールとイングランドのキャプテンで、ウエスト・ハムに勝っていて、ユーロに向けて今頃準備している。だけどそうい理想は捨てないといけない。この本は誇りを持って振り返ることのできる俺の物語が詰まっている。」


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