2014-03-18

Carragher: 09年の倍の出来


日曜日の夜、ホワイトハートレーンから帰宅途中にスティーブン・ジェラードにメールを送った。俺はリバプールのほとんどの試合後に彼にメッセージを送っている。普段は彼に試合がどうだったか、話題になっている論点についてどう思うかを聞いたりする。だけど今回リバプールがオールドトラフォードでマンチェスター・ユナイテッドに恥をかかせる姿を観て、そんなこと聞く必要はなかった。そこで俺は『2009年の倍良かったぞ。』と送った。オールドトラフォードへ乗り込み、3点差で勝った時の気分は俺はよく分かる。でもオールドトラフォードでユナイテッド相手に試合を支配し、パスが出るたび"オレ!”と叫ぶ有頂天のリバプールファンを前に、ユナイテッドの選手たちが最後の10分でリバプールの影を追い掛け回すような試合はどんな気分になるんだろう。

09年3月に勝ったときの4-1という結果は、試合内容からは少し歪んでいた。確かに我々のパフォーマンスは非常に良かったが、ずっとプレッシャーをかけられていたし、クリスティアーノ・ロナウドにペナルティを与えてしまい、ネマニャ・ヴィディッチが退場した後の最後の13分でなんとか2点を取った試合だった。アウェイエンドでファンと一緒にめちゃくちゃ喜んだ。ピッチを後にするときも大喜びだったが、その盛り上がりは長く続かなかった。まだあの時点でユナイテッドより1試合多くプレーしていた上に、4ポイント差をつけられていたからだ。優勝したいと思っていたが、彼らが優位だった。

日曜日のパフォーマンスは、あの時とは全く違った。今のユナイテッドは5年前のチームに劣っているかもしれないが、リバプールのパフォーマンスを見くびってはいけない。キックオフから闘志があり、結果6-0で勝ってもおかしくなかった。この結果とパフォーマンスはマンチェスター・シティとチェルシーにも響いたと思う。これでリバプールを甘く見るチームはいなくなった。マヌエル・ペレグリーニ、ジョゼ・モウリーニョ、アーセン・ヴェンゲルは、リバプールのユナイテッドのアウェイとサウサンプトンのアウェイゲームに目を向けることだろう。彼らの予想では、出来が良くともリバプールが獲得できるのは4ポイントだろうと思っていたんじゃないだろうか。だがリバプールは最大の6ゴールで6ポイントを持ち帰った。この勝利で得た鰻登りの自信はペレグリーニ、モウリーニョ、ヴェンゲルを不安にさせることだろう。タイトルレースに入れば入るほど、リバプールはどんどん良くなっている気がする。

ブレンダン・ロジャーズは非常に高い評価に値する。今の状況を非常に上手く対処している。真のブレンダンはまさにインタビューやテクニカルエリアでみる姿と同じ。ひどく興奮したりせず、常に監督としてチームをコントロールしている。それが監督のあるべき姿だ。コーチングに集中力と冷静さ、明確な戦術プラン、揺るがない信念を備えている。ブレンダンは少しづつ、そして確実に選手たちを激励し成長させ、プレーする機会を与えるコーチだ。ここが現代の英国のフットボール界の問題であるとずっと言われている。英国はスタイルが定まらずポゼッションを持たない、と。だが彼はそういった非難を跳ねのけ、若い選手でもスタイルと高度なテクニックでプレーすることができると示している。

安定したパフォーマンスと良好な結果でその指導力が報われている。ジョン・フラナガン、ラヒーム・スターリング、ジョーダン・ヘンダーソンら、少年から男になった彼らの今季の成長幅をみればそれは明らかだ。スターリングのワールドカップメンバー入りは間違いないと思う。彼は自分の強みであるペースをしっかり生かせている。またそのスキルをゴール前で生かすことができる選手だ。一方フラナガンはポジション争いに全力を尽くしている。イングランドは優秀なサイドバックを多く抱えているが、グレン・ジョンソンやカイル・ウォーカーに何か起これば次はフラナガンに出番が回るはずだ。彼はタックルをするだけの選手じゃない。彼はボールの扱いが上手く、自信をどんどんつけている万能な選手だ。

ブレンダンの一番好きなところは、彼が勇敢であるということ。ブレンダンはほかの監督が嫌がるような問題にもしっかり向き合う。リバプールの監督就任が決まる前に、英国史上最高額のアンディ・キャロルをウエストハムへローンに送り出した。同じく人気選手のペペ・レイナをナポリへ出した。ルイス・スアレスの事件の対処は非常に強固で良かったと思う。ルイスが一時アーセナルへの移籍を強要していた時でさえ、ブレンダンはメディアで勝手なコメントをしていた彼をきちんと従わせ、一人で練習させた。ブレンダンは選手たちに非常に信頼されており、彼の指導に選手たちが応えている。彼は誠実に選手たちの成長を願っている。チーム全員から慕われていて、コーチングスタッフと選手たちとの絆の強さは見て取れる。

今のリバプールのは勢いがある。ブレンダンへの一番の褒め言葉を言うとすれば、驚く早さでクラブがタイトルを狙える位置に導いた。たとえばジェラール・ウリエやラファ・ベニテスはリーグ優勝を狙えるまでに4年かかっている。もしもリバプールがリーグタイトルを獲ることができれば、その偉業は65年ビル・シャンクリーのFAカップ優勝や77年のボブ・ペイズリーの欧州カップ優勝に値するだろう。リバプールがこれまで18タイトル獲得しているとはいえ、クラブがタイトルを渇望している今、優勝すれば初タイトルのように感じるのではないかと思う。

優勝できるのか?彼らには実現できるだけの力はある。リバプールはライバルチームが抱える悩みはない。チェルシーには一流のストライカーがいない。マンチェスター・シティの守備はそこまで強くない。アーセナルは必要なとき結果が出せない。リバプールにはこうした課題はない。残り9試合は予断を許さない状況だ。リバプールは思い通りに行かないかもしれない今後に向けてしっかり準備をしていく必要がある。緊迫した状況になったときこそ真の力が試される。

チェルシーとシティをアンフィールドに迎える2試合の結果が今季の王者を決める大きな分かれ目になると思う。2005年1-0でチェルシーを破ったチャンピオンズリーグ準決勝のアンフィールドは俺のキャリアで最高の雰囲気だった。本当にスタジアムが揺れていた。4月27日チェルシー戦でオールドトラフォードのような試合が再現できれば、その上を行く盛り上がりになるかもしれない。

Daily Mail

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