2014-06-09

スアレスの術後初インタビュー


術後一週間のルイス・スアレスにGuardianが直撃インタビュー。現在ワールドカップに向けリハビリ中で、一瞬たりともワールドカップ出場の可能性を疑わなかったという。

「精神的には大丈夫だし、肉体的にはすごく良い状態だ。一瞬もワールドカップを逃すことになるかもしれないなんて考えたことはないから、全くプレッシャーを感じたり、悲しくなったりすることはなかった。そんな考えが頭をよぎったことはないよ。ケガが痛くて泣いたりすることはできただろうけど、ワールドカップに影響はないってわかってたから泣いたりもしてない。ドクターが初見で、ちょっと裂けているけど大したことないって言ってたから。妻は“あんたどんだけ強いの”って驚いていたけど、ワールドカップには出れるってわかってた。」

「どの試合から出れるか?まだ膝がどういう反応をするかわからない。だから今は、“開幕戦に間に合う”とも言えるし、“2戦、3戦目まで待つほうがいい”とも言える。確実なことは治療を進めていくなかでしかわからない。20日後、もう大丈夫っていう状態になって、膝が一旦腫れてから、落ち着くかもしれない。とりあえず痛みがなくて安定していて、腿が腫れなければ大丈夫だろう。」

精神的に前向きでいることが回復のカギだというスアレス。術後は数日の休養後さっそくプログラムに沿ったメニューですぐにリハビリを始めた。ドクター含め全員が非常に慎重になっている。不屈の精神と肉体を持つスアレスは12歳の頃交通事故で足を骨折したときもプレーをやめなかったと明かす。

「12歳くらいだったかな。車に引かれて第5中足骨を折ってしまったんだけど、それに気づかず、ずっとプレーしてた。結局ギブスをはめられたけど、学校ではずっとプレーしてた。ギブスを外しに行ったときにはほとんど骨がなくなっていて、医者に怒られたよ。ギブスを外して一週間後には普通に試合でプレーしてた。」

「俺はすごく感情的な人間だし、感情をよく表に出すけど、それ以外はすごく強い男だ。負傷というのはフィジカルの問題だけじゃなくて、精神力も問われる。もうダメだ、悲しい、もう治らないんだ、なんて考えていたら無理だ。俺の目標は明白。精神的にも肉体的にも強くいること。子供たちに自分がワールドカップでプレーする姿を見てもらうってことだった。」

「もちろん不安になることだってある。手術中ともなると不安になったりするけど、手術は手術。しっかり休養したよ。休養中は全く重力をかけることはできなかった。妻に『動かないで』『座ってて』『そこにじっとしてて』なんて言われて、子供たちをベッドに寝かしつけたり、お風呂に入れたりできなくて辛かった。ワールドカップのことより家族のほうが心配だった。もっとひどいケガだったら不安になっていただろうけど、怪我の具合をみて大丈夫だって思った。時間はないから慎重にリハビリをしていかないといけない。勝手にいろいろしてリスクを冒している時間はないからね。出来るだけ早くというより、大会にちょうど間に合うくらいできっちり治したい。ドクターにも少しづつって言われている。」

「半月板の負傷についてはいろんな話を聞いたよ。俺は15日かかったって言う選手もいれば、20日や25日かかったっていう選手もいて、それぞれ違うんだ。なかには翌日から歩けたけど、20日後には腫れ上がったっていう選手もいて、すごく参考になる。今はゴムバンドを使って足を上下するエクササイズをしてる。膝を支える大腿四頭筋を強化するためだ。エクササイズをすると、終わってから腫れてるって思うこともあるんだけど、実際はそうじゃない。そういうもんらしいよ。」

世間には万全の状態の自分をみてもらいたいというスアレスは、リハビリ中の姿を見せるのが嫌。

「今のところ屋内でやってる。外でみんなにこんな姿をみせるのは嫌なんだ。ピッチに立つときにはしっかり準備できた姿でいたい。期待はあるし、メディアの注目もある。メディアは“スアレスがジョギングを始めたが、まだ動きは鈍い”とか“今日は普段の走りをみせていた”とか書くんだろう。そういうのが余計なプレッシャーになって、事実と異なる印象を世間に与えてしまうかもしれないから外には出たくないんだ。」

本大会の注目選手であるスアレスからプレッシャーはなくなることはない。ウルグアイではワールドカップがすべて。ワールドカップ関連の看板や広告は多くがスアレスを起用している。親善試合でも5万人のスタジアムが満員になるほどだ。

「イングランドではプレミアリーグが占領しているけど、ここではワールドカップがすべてなんだ。手術の日も本当に暖かいサポートを受けて感激した。車いすで病院を出たときにも多くの人が待っていてくれた。なぜあんな姿の俺の写真を撮りたいのか全く理解できなかったけどね。家にはたくさんのジャーナリストが待っていたから、“寒くなるし、俺は家を一歩も出ないから”って伝えた。」

スアレスがプレーするリバプールの選手が多く所属するイングランドとの対決は国中が待ちわびている。

「ウルグアイの人々はイングランド戦を何より楽しみにしてる。多くのウルグアイの人々がリバプールファンになってくれていて、自分をすごく誇りに思う。国中がリバプールの試合を心待ちにしていて、プレミアリーグは衛星放送でしか見れないから多くの人が怒ってる姿も多くて、本当に驚き。リバプールの試合を観るためにファンは早起きしてくれるんだ。」

試合後みんなスアレスのユニフォームを欲しがるんじゃない?交換はするの?

「すでにスティービーとはシャツを交換する約束をした。グレンも俺のシャツ欲しがるな。それにダニエルもラヒームも欲しいって言うだろうから、いくつか持っていくことにするよ。2010年にオランダ相手にプレーした時には、アヤックスでの友人が相手チームにいたから5着必要だったんだ。俺は実際プレーしなかったんだけど、シャツはくれって言われた。試合日とチーム名が入っているから、記念になる。だからシャツは交換するよ。着るかどうかはわからないけど(笑)。」

ブラジル大会に出場するリバプールの選手とのやりとりは、多くのメディアが噂を掻き立てる。

「いくつかの新聞が俺がリバプールの選手に絶対ワールドカップに間に合うって言ってたっていう記事をみた。でも俺はそんなこと言ってないよ。手術した日に、スティービーとグレンとメールをして、“ブラジルで会えることを祈ってる”って言ってくれたから、“ブラジルで会おう”って返した。なんだか内容が違うよ。絶対間に合うなんて一言も言っていない。」

リバプールでのチームメイトたちの活躍を期待しているが、イングランドの弱みを知っているというスアレス。

「ワールドカップは全く違う舞台ではあるけど、チームメイトたちはクラブでみんないいプレーをしたし、イングランドでもリバプールと同じような役割を担うことになるんじゃないかな。ラヒームとジョーダンが選ばれたと聞いてすごく嬉しかったよ。彼らの携帯番号を知らないからおめでとうメールは送れなかったけどね。一年前は彼らを評価していなかった人もいたけど、シーズン中の彼らの活躍をみてついに招集されたんだ。ラヒームは特にすごく若いからワールドカップは素晴らしい経験になるはずだ。」

「今回のイングランドのチームはは、経験と若さのバランスがいいと思う。過去の大会では、ピークを過ぎてしまったんじゃないのっていう選手が何人かいた。今のチームは成功を手にしたいとハングリーな選手がいる。俺たちは全く油断できない。だけど、守備に弱点がある。俺はどこが弱みなのかを知ってるんだ。ここでは言わないけど、ウルグアイのチームで言う!」

レッズのほかに注目しているというレイトン・ベインズとウェイン・ルーニーついて語る。

「ベインズはすごく好きな選手だ。彼は守備より攻撃に焦点を置いているけど、彼の左脚はプレミアリーグ一だ。素晴らしい選手だと思う。高い能力を備えていて、シュートも上手いし、彼の周りにいい選手が揃えばイングランドの強みになるかもね。俺たちはしっかりマークしなきゃ。ルーニーは勝気に溢れた選手だし、今大会は彼にとっていいチャンスだと思う。ホジソン監督が世間はルーニーに責任を押し付けすぎだっていう記事を読んだ。プレッシャーじゃなく責任を任されているってのはいいことだと思う。彼だけじゃなく、周りにはいい選手が揃ってる。ほかの選手もあなどれない。イングランドは才能ある選手がいっぱいいる。」

イングランドとは全く違う環境にある300万人の国民がワールドカップの優勝を望んでいる。コパ・アメリカ優勝、南アフリカ大会では準決勝までたどり着いた。期待は高い。

「もちろん期待値は高い。ウルグアイの勝利の秘訣は、どんな結果にも満足はせず、最低限の水準は受け入れないこと。南アフリカ大会はもう忘れてほしい。今は2014ブラジル大会での記憶を植え付けたいんだ。」

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