2015-01-26

キャラガー:もう一度プレーしたい


火曜日の夜は非常に辛かった。来週の火曜日も辛いだろう。こういう試合は現役時代が突如恋しくなる。2013年5月に現役を引退したときには良いタイミングで身を引けたのはわかっていた。好運にもその後スポーツメールとスカイスポーツがサッカー界に残るチャンスをくれた。

それでも引退後に、どうにかして決断を覆したいと思うことは何度かあった。リバプールの昨シーズンのマージーサイドダービーやオールドトラフォードでユナイテッドを3-0で下す試合、マンチェスター・シティやチェルシーとタイトルを賭けた試合を外から観るのは拷問だった。

今季は昨季ほど辛い思いはしていないが、火曜日のキャピタルワンカップの準決勝で再び辛い仕打ちを受けた。この試合で、今季初めてもう一度プレーしたいというひどい欲望にかられた。チェルシーで再試合をするときにも同じ思いになるのはもうわかっている。

もちろんリバプールファンとしてリバプールの活躍を常に願っているが、自分がプレーしているのといないのとでは感じ方が違う。特に重要な試合のあの興奮があるのとないのでは全く異なる。

4~5年の間、ここぞという試合になればチェルシーと対決という期間があった。リーグカップ決勝、チャンピオンズリーグとFAカップの準決勝、リーグタイトル争い…とそこには常にチェルシーが立ちはだかった。あの緊張感と興奮は試合の前日まで続いていた。早く試合をしたいと願う一方で、思い通りに行かなかったらどうしようという不安もあったりした。

試合当日は、キックオフ前から相当なアドレナリンがスタジアムを包んでいた。観衆のエネルギーがピッチまで伝わってきた。ああいう試合のあとは眠れなかった。正しかったのか間違っていたのか、試合中に起きた事を何度も何度も思い返していた。今でもチェルシーとの05年の準決勝でグジョンセンからボールを奪って決めたルイス・ガルシアのゴールを思い出すことがある。


Carragher and Drogba get up close at Anfield
なぜだろう。あの試合でボールは俺とディディエ・ドログバを数センチの差ですり抜けた。ほんの少しだった。ドログバと俺はボールに向かっていて、そのときボールが俺の脚をかすった。あの僅差がなかったら俺たちはイスタンブールには行けていなかった。

火曜日のアンフィールドは当時のチャンピオンズリーグのために用意されたような舞台になっていた。スタジアムが揺れ、チームはペースがありしっかりボールが通った。ジョセ・モウリーニョが試合後に、“リバプールファンはアンフィールドにプレーしに来る”と話していたが、その意味は俺はよく分かる。その場所に俺も戻りたいと思った。

火曜日の結果でチェルシーの決勝行きが有力視されているが、まだリバプールが除外されたわけじゃない。リバプールのチームの成長を計る大事な試合になるかもしれない。リバプールの先発イレブンの平均年齢は24.6歳だったが、イングランドのベストチーム相手に互角に戦えたことは自信を持っていい。

ラヒーム・スターリングは素晴らしかった。彼にジャマイカでの休暇与えるというロジャーズの決断は正当化された。ロジャーズがミッドシーズンに休暇を与えたことについては様々な意見があるが、賢いマネージメントだったと思う。ラヒームほどの勢いでずっとプレーしていればいつかは燃え尽きる時がくる。自分自身の経験からわかる。マイケル・オーウェンのように若くからプレーしすぎると影響は必ず出てくる。20歳でリバプールで最も重要な選手となったラヒームには保護が必要だ。

FAカップのボルトン戦でスターリングが出場すれば俺は驚く。ロジャーズがどういうチームセレクションをするのか興味深い。リバプールはチェルシーよりトリッキーな相手だが、早く決着をつけたいはずだ。今週末は、火曜日の決勝を賭けたチェルシー戦より重要な試合はない。リバプールとチェルシーの敵対心が爆発した05年のカーディフでのリーグカップ決勝を思い出す。

Champions League semi-final win against Chelsea in 2007
チェルシーが同点に追いついたあとに、モウリーニョがリバプールファンに対しシーっと黙らせようとした。あの事件以後彼はリバプール公衆の敵となった。さらに当時スティーブン・ジェラードに対する公の誘いもあった。しかし敵対心を燃やしたのは何よりも両クラブにとっての大会の重要性だ。チェルシーがあの試合に勝ったことで、のちのクラブの歴史に残る成功に勢いがついた。モウリーニョは今季この大会でそれを再び狙っているはずだ。称賛されているチェルシーだが、タイトルを手にしなければ何の意味もない。彼らはこのタイトルを手にできると思っているだろうが、これだけの戦力がいてキャピタルワンカップだけで十分といえるのか?モウリーニョは、タイトルがなければ歴史は作れないことを知っている。

ロジャーズにとっても同じ。彼は就任3年目でいい仕事ぶりを発揮しているが、リバプールの監督としてレガシーを残すためにはトロフィー獲得が必須。彼も前監督のようにタイトル獲得に必死のはずだ。その目標を達成するためには、チェルシーとのバトルは必ずついてくる。ピッチ上の選手たちの闘争心をみるとそういう日々が戻ってきたようだ。火花が散る雰囲気や監督同士の言葉をきいてもお互いがどれだけ決勝に行きたい気持ちが強いのかがわかる。

俺はキャリアを通してチェルシーとは45回対戦している。是非とも46という数字にしたい!

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