2014-04-18

精神力の秘訣


リバプールのチームのメンタルの強さの秘訣。それはブレンダン・ロジャーズが1年半前に連れてきた精神分析医スティーブ・ピーターズ博士の存在だ。フットボールに関する知識は皆無だが、フットボールだけでなくサイクリング界でも高い評価を受けるスポーツ心理学のベテラン60歳。豊富な知識で多くの選手の精神的サポートをしており、メンタルの強さが問われるタイトルレースを闘うチームから絶大な信頼を得る秘密兵器といえる。

「皆でいろいろなアイデアを出して、密接にやっているよ。私の役目は指図することではない。そこはブレンダンやディヴィッド(チームスカイ監督)の専門分野だ。私の仕事は彼らの理想や目標を聞いて、アドバイスをすること。私は全くフットボールやサイクリングのことは知らないから、自分ができることには限界がある。それを問題視する選手もいるがね。ブレンダンに頼まれたことはできるだけやるように努めている。ブレンダンやディヴィッドとは大きなホワイトボードを使って、さまざまなブレインストーミングをしている。二人ともアプローチ法が似ているんだ。」

「95%メンタルがしっかりしていても、精神学的には残りの5%で金メダルか7位なのかが決まったりする。この5%が決定的に重要なんだ。」


今季飛躍的な活躍をみせるジョーダン・ヘンダーソンやダニエル・スタリッジもピーダーズ博士の存在の重要性を明かしている。二人のタイトルレースにおけるプレッシャーにもずいぶん差があるという。

「ダニエルとジョーダンは一緒に働いていていて、非常にいい相手だ。きちんと話を聞いて従事してくれる。私が目指すチームワークをきちんとピッチで出してくれている選手。彼らにチームという働きかけをしている。」

「どういう効果を求めるのかはブレンダン次第だ。彼のアイデアが実現できるよう手助けをしている。誰がきちんとやっているか、誰がそっぽを向いているのかを見るんだ。私は非常に厳しいよ。誰だって成長することが可能だ。選手たちは今よくやってくれている。これ以上褒め言葉がないくらいみんな従事してくれているよ。」

元リバプールの選手であるクレイグ・ベラミーが、友人ギャリー・スピードの死と離婚で破滅的になった際に、手を差し伸べたのもピーターズだ。ベラミーは昨年発売した自伝の中で2ページをピーターズ氏に捧げた。

『スティーブ・ピーターズには本当に助けてもらった。人生の質が大きく変わった。この世で一人の人間にこれだけ説得してもらえたことはない。』

「脳の動きを変えることでできる。これは技術なんだ。上手くできる人もいるし、苦しむ人もいる。でもいい方向には必ず持って行ける。魔法のレシピなんかではないんだ。これをしなくてはいけないというものがいくつもあるわけではない。スポーツに限ったことじゃなく、人生を変えるためのもの。」

「簡単な例を挙げてみよう。たとえば君のこの記事が発行されるかどうかで悩んでいるとしよう。そこで私が座って青空を想像してだとか、楽しかった旅行を思い浮かべてみてと言う。そうするとなんだか気持ちが軽くならないかい?それは記憶の場所を変えたからだ。脳内の血液の流れを実際に感じることはないが、感じ方の違いには気付くものだ。」

現在週1回のペースでメルウッドに顔を出す博士だが、主将スティーブン・ジェラードには数年前から個人的にアドバイスをしている。

「なかには心理学に興味を持っている選手もいる。物事を見抜く力があり、どうしたいのかを自覚している。スティーブン・ジェラードはそういうタイプだ。彼は本当に抜け目がない。しっかりしている選手だ。彼は自分に必要なことがよくわかっているから、それを実現するためのスキルベースを必要としているだけなんだ。」

「リバプールがいいチームなのは見ての通り。でもマインドによってダメになることもあるから、いつもうまく行くというわけではない。でもなぜチームをダメにしたのかがわかれば、それを解決する策を選手たちに教えられる。私はリバプールにフットボールを教えに来たわけではない。そんなことできるかいね。私はこれをすればプラスになるんじゃないかとか、それはマイナスになるかもと言う役。あとどう思うのかは選手次第だ。彼らの望む方向にマインドを持って行けるよう助けるのが私の仕事だよ。」

イングランド代表のキャプテンでもあるジェラードは、スポーツ心理学の利益を大いに信じていると明かしている。ピーターズ博士はイングランド代表とともにブラジルへ行くことが決まっている。

「彼には本当に助けられている。鼠蹊部を損傷した時はキャリアを危うくする故障だった。3,4人の外科医に相談したけど、またプレーできると明言してくれるようなドクターは一人もいなかった。そこで彼を頼ったんだ。前向きに、強い意志を持ってやれば大丈夫だって。落ち込んで自分を見失いかけていた俺に、現状を単純に考えるようアドバイスをくれたよ。」

「選手たちがきちんと聞けばメンタル面でどういう準備をすればよいのかがわかる。保障はないけどね。スティーブは人間としてや選手としての俺を変身させたわけじゃない。リバプールとイングランドでプレーする俺はメンタルの準備はけっこうしっかりできているんだ。だけど少しでも良くなるなら、もっと良くなるための助けになるなら、1%でもアップするなら、相談する価値はあると思ってる。ワールドカップで成功する助けになってくれるかもしれない。トップレベルで戦っていくためには小さなことが結果を左右する。」

Daily Mail

1 件のコメント:

あか色な気持ち さんのコメント...

この人の記事が、静岡新聞にも出ておりました。その記事は代表チームでの存在が中心でした。England代表は近年PK戦に弱い。彼によって選手たちのメンタルは向上、チーム自体も強くたくましくなりつつあるみたいな話でした。そもそも、ホジソンがチームに「リヴァプールセット」を組み入れたからだと、個人的には思うのですが!?